BCP防災では、地震時の液状化現象に対してある程度の被害は許容しつつ、事業継続性の確保あるいは早期の復旧再開を可能とする対策が求められます。道路であれば液状化現象が発生しても地表面の変状が緊急車両や復旧工事車両が通行可能な程度に収まること、資材・コンテナヤードのような施設ならば集積した貨物等が荷崩れを起こさず、物資の移動・再配置の安全性が確保できれば必要十分であると考えられています。ボイリング被害抑止工法(SBDS:
S
and
B
oil
D
amage
S
uppression Method)は、下図に示すとおり表層地盤の不飽和土層(非液状化層)中に長さ3〜5m程度の短尺の人工ドレーン材を鉛直に打設し、地震時の噴砂・ボイリングの発生を抑止するという、従来の液状化対策とは全く異なる発想の下に新規開発された工法です。
地震動により中深層地盤が液状化すると上向きの浸透流が発生するとともに過剰間隙水圧が表層地盤に伝播し、間隙水圧が上昇していきます。これに連動して表層付近の地盤の有効応力は減少しますが、地震動や地盤条件によりその変化は一様ではないため、平面的に弱部となる地点から噴砂を伴ったボイリング現象が発生することになります。SBDS工法は、この液状化層からの水圧伝播を、非液状化層内に設置したドレーン材を通じて地表部に速やかに排水させることで抑制し、噴砂・ボイリング現象の発生を防いで舗装の破壊や沈下被害等の地表面変状・不陸を最小限に止めることが可能です。対策範囲以深では液状化の発生を許容するため、ある程度の地表面沈下は生じますが、交通荷重や上載荷重に対する地盤支持力は確保され、施設機能の健全性は維持されます。液状化の発生そのものを防ぐDEPP工法に比べ、対策範囲が表層地盤の数mに限定されるため、小型打設装置による迅速な施工が可能であり、施工性とコスト面に優れたボイリング対策が実現できます。
液状化対策工法(DEPP工法)
ボイリング被害抑止工法
DEPP工法とボイリング被害抑止(SBDS)工法の比較
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